2009年01月10日

肯定と否定

・・・公演主題歌CDが無くなるなんて!
最後の公演、どんな歌い方をしてくれるか、ホントにホントに楽しみにしていたのにー!
ピアノサウンドもなくなるそうですが、劇場の自動ピアノ演奏はやってくれるんだろうなと期待。
一緒に観に行った友人が、「あれ、いいね。主題歌が自然に耳になじむ」と言っておりました。


本年のヅカ初め、「カラマーゾフの兄弟」を観てきました。

まだちょっと自分の中で整理できていないのですが。

ネタ的なことを先に叫んでしまいます。

・今回の「ばいざでぃーぷふぉー」は「でんだんく、だーめ、べげーあいっひにひと」だと思ったこと。
・「イワンの影」の方がどなたなのかわからないまま観ていたんですが、2幕に入ってから、動いているところは余り見た事がないにもかかわらずトート新人公演時のとうこちゃんに見えてしまってうろたえました。
・こんな雪娘ちゃんいたっけ?と後で確認してみたらまゆみおねえさまで、大変納得。


以下脈絡もなく。

以前に、この作品を宝塚の舞台に乗せようとする齋藤先生は度胸がある、というようなことを書きましたが、考えるまでもなく作品を発表すればそのたびごとに自分がさらけ出されるのは、当たり前。
この長大な作品をいったん削って骨だけにし、そこから肉付けをするという作業をおそらく経てきたであろうこの「カラマーゾフの兄弟」も、一言で言うと「齋藤先生らしいなー」と感じました。
(オープニングのレベルの高さ、フィナーレのやりたい放題は言うまでもなく)
「エル・アルコン」の時にも思ったのですが、「原作とは全く別物、でも、原作の精髄と言っていいものは齋藤先生らしい選択ではあるものの反映されている」という事も同時に思いました。
「カラマーゾフ的な力」「酩酊するような、あるいはトロイカをひたすら走らせているような、物語の疾走感」。
抑制され統制された流れで、最終盤にクライマックスを形作る「マリポーサ」の記憶がまだ新しいだけに、最初からテンションマックスで突っ走る齋藤作品が雪組さんにこれだけ似合うとは予想外。
「ドリームキングダム」の中詰めとかなめ君の「ヤンブラ」ぐらいしか私の記憶にない雪組さんと齋藤先生の組み合わせでありましたし。
高いテンションを保ちつつ、ドミートリーとグルーシェニカを主演に持ってきた作品として、一本、線が通っている。
宝塚の舞台ではいくら何でも「肉欲」とか「セックス」は無理だろうと思っていましたが、「衝動」という「カラマーゾフ的な力」をも総括するいい落としどころの言葉を持ってきたことも二重丸。

「カラマーゾフの兄弟」を舞台化すると聞いた時に「罪と罰」の方がやりやすいだろうなと思ったのは、「カラマーゾフ」の重層さ多面さに比べればシンプルなことと、(実際は違うんだけど)ラストがまとめやすいだろうと思ったためです。
この舞台では割と「罪と罰」的(流刑に向かう男とついて行く女)ラストを持ってきたな、と。
全体のバランス的にこれも良かったと思います。


ただ、ドミートリーとグルーシェニカを主演とした宝塚の舞台であるからにはこうなるのも当然なんですが、もう一つの主人公達であるイワンとカテリーナの地位が下がり、卑小化された描き方になってしまったことが残念。
革命家イワン、て・・・。
原作のイワンだったらプライドの高さから憤死してしまうのではあるまいか。
おまけに「だい、しん、もん、かん!」・・・。
こういう人だったら、裁判の場で錯乱するだろうか?
(だから錯乱加減がおとなしかったのだろうか?原作の発狂といってもいいのに比べると)
まあ、文学界でも未だにいろいろな説が出てくる重層的で多面的な登場人物を舞台化するには切り捨てなくてはならないところが多々出てくるのは当然ですが。
カテリーナもなあ。
わがままで自己中心的な(ホントにそうなんだけど)だけの女性じゃないと思うんですが。
ドミートリーとイワンのあいだで揺れる気持ちもわかるー!イワンがいらだちつつも「カラマーゾフ的な力」と「若々しさ」で惚れるのもわかるー!人だと。
まあ、ここら辺は初見故の引っかかりのような気もしております。

同種のものでもう一つ。
母の影響力が強いのはミーチャとスメルジャコフじゃなくて、アリョーシャとイワンだと思っていました。


モークロエで「ワインもチーズも踊り子も楽団も」(あれ?違っているような気もする)と叫んでいるミーチャと見つめるグルーシェニカの表情が、ほんとに素敵でした。
2度とも。
輝ける一瞬。
素晴らしい濫費。
だから、あのラストが陳腐に見えなかったのだろうと。

宗教の問題に敢えて手を出さなかったのは正解だったと思います。
齋藤先生の手に負えないことも確かだけど、観客もきっとついて行けない。
その分「神はいない」「神がいなければすべては許されている」が些か違う意味を持つようになってしまったけれど。

イワンに散々文句を付けていますが、ユミコちゃんの出来としては完璧でした。
今原作を読んだら、イワンはユミコちゃんの声で大審問官を語り出しそうです。

フィナーレのなんちゃってロシア民謡大会は、「今まで真面目じゃん」と思っていた世界が、一挙に・・・。
朗々と歌うハマコさんですべて良しだな、といういつもの感覚になりましたが。

DVDに手を出したくなる危険な予感。
posted by Mey at 00:14| Comment(0) | タカラヅカ・生観劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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